「Heroでレース」と言うとびっくりするかもしれませんが、実はHeroは毎年ダカール・ラリーにも出場していて、今年はなんと2度のステージ優勝を果たし、総合でも10位を獲得しているほどオフロードバイクに力を入れているメーカーなんです。
X-PULSE200 4VはそんなHeroが発売する本格オフロード/アドベンチャーバイクなので、きっとクロスカントリーレースでもそのポテンシャルを発揮してくれるはず!
今回出場するレースはWEX EAST開幕戦。会場となるのは埼玉県のモトクロスコース、オフロードヴィレッジです。モトクロスコースとはいえ、レースでは常設のモトクロスコース外にあるトライアルコースやフラットトラックも使い、テクニカルなコースが作られ、丸太や岩も乗り越える、マシンの走破力の高さが問われるレースとなっています。
レースは50分、90分、120分の3レースが開催されますが、今回僕が出場するのは50分。その中でも車種によって細かくクラス分けが行われており、セロー250やCRF250Lなどと同じテーピング50というクラスに当てはまります。
ちなみに午前中に開催された90分レースではこんなタイヤ超えセクションが用意されていました。この大きいタイヤは50分では使われないようなので一安心! X-PULSE200 4Vでも超えられないことはなさそうですが、最低地上高はあまり高くないので、このタイヤを超えるとエンジンガードが当たってしまいそうでした。
連載のVol.1でレースに出るためのマシン作りは紹介しましたので、ここではレース当日にやったことをいくつか。まずは周回を計測するためのタイムポンダーを取り付け。これは当日、受付で渡されたものをフロントフォークにタイラップで装着するだけ。
そしてレース前に念のためチェーンルブを塗布。砂埃が凄いレースなので、チェーンとスプロケットを長持ちさせるために大切なポイントです。
予め大会側から指定されたナンバーのゼッケンを作っておいたので、貼り付け。レーサーだったらもっとかっこよく作ることもできるのですが、シールドを外したX-PULSE200 4Vはヘッドライトしか貼れる場所がなかったので、コンビニのシールプリントを使って簡易的に作成しました。
そしてレース直前にサイドスタンドをゴムバンドで留めてジャンプの着地の衝撃などで降りないようにします。
スタート地点に並んでからも周りのライダーから質問責めに。レース前だというのに、みなさん初めて見たX-PULSE200 4Vに注目してくれました。
1列目にはモトクロッサーやエンデュランサーなど、本気のレースマシンが並び、僕らテーピングクラスは2列目になりました。50分レースのエントリー台数は全部で91台! 大盛況です。
暖機運転が終わると静寂に包まれた中、君が代が流れ、スタートフラッグが振られてレーススタート!
レースはスタートして最初のコーナーが一番混雑します。ここで無理をするといきなり他のバイクとぶつかって転倒し、バイクを壊したり、怪我をしたりしてレース終了……となってしまうので安全に空いているラインを走ります。
僕としては教習所を使った試乗会で20分程度乗っただけのX-PULSE200 4Vなので、土の上を走るのはこれが初めて。サスペンションの具合や重量のバランスなどを確かめながら、少しずつアクセルを開けていきました。
フラットトラックコースは一周目から凄い砂埃。視界も悪く危険です。エンジンパワーではレーサーに勝てないので、とにかくイン側を塞いで抜かれないように走ります。邪魔してごめんなさい。
通常こういったフラットなコースはリアブレーキをロックさせてタイヤを滑らせてバイクの向きを変え、速くコーナーを抜けるのが鉄則なのですが、最初は車両の重さからバイクを寝かせるのが怖く、なかなかタイヤを滑らせることができませんでした。後半、重さに慣れてきてからは少しはマシになったかな?
同じ50分レースにはアドベンチャーバイクやスクーター、キッズライダーも走ってましたよ。
レース中盤になるとだんだんバイクにも慣れてきました。加速でこそレーサーには勝てませんが、トップスピードはそこまで大きな差はなく、ストレートでも置いていかれずにバトルすることができるようになってきました。
ジャンプ台で少しアクセルを開けると、この通り! ジャンプもできました。
正直、スタート前までジャンプはちょっと跳ねるくらいが限界だと思っていました。ところが走っているうちに思いのほかサスペンションがしっかり踏ん張ってくれることがわかってきて、周回を重ねるごとに自然と高いスピードでジャンプに進入していました。これだけ高く飛んでもほとんど身体に衝撃は来ませんでしたね。
でも着地ではサスペンションがほぼ限界まで縮み、あと少しでフェンダーがタイヤに当たってしまうくらいに。リアフェンダーを外しておいて、大正解でしたね! それでもサスペンションが底付きしてしまうことはなく、しっかりショックを吸収してくれました。
助走区間が短いヒルクライムも低速トルクを使ってトコトコ登れます。
鋭角な丘を登るショートカットラインもほぼ毎周使ってタイムロスは最小限に抑えました。
丸太もちゃんと超えましたよ。メーターとヘッドライトが外せなかったので、やはりモトクロッサーとかと比べてしまうとフロント周りが少し重くて、なかなかフロントアップができなかったのですが、ヘビーチューブを入れたおかげでタイヤもパンクしなかったし、丈夫なエンジンガードのおかげで躊躇なくアタックできました。
そして9周目を走り終えてチェッカーフラッグ!
レースを終えたライダーは大勢の観客にハイタッチで迎えられ、パドックに戻ります。レースの疲れも吹き飛びますね!
結果はテーピングクラス9台中4位。ちなみに総合順位は49位/91台。前半はなかなかペースが上げられず、6位あたりを走行していましたが、次第にバイクに慣れてきてペースが上げられるようになると少しづつ順位が上がってきて、最後は4位という結果でした。残念ながら表彰台は3位までということで楯はもらえませんでしたが、WEXでは出走した全ライダーに出走証明書を出してくれます。
実際にHero X-PULSE200 4Vでレースを走ってみて、僕が試乗会で感じたオフロード性能のポテンシャルの高さを再確認することができました。転倒もなく、ノートラブルで最後まで走り切ることができ、国産オフロードバイクに負けない性能があることがわかりました。
これでレースは終わりましたが、連載はあとちょっとだけ続きます。
オフロードコースを走った後のX-PULSEを洗車して、メンテナンスなどについても解説していきますよ。
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