こんにちは、バイク館甲府店の塚田です(^^)/
今回のブログも前回同様に車両のご紹介と、メンテナンスに関わる情報をお届けしようと思います。
ではまずお買い得車両情報から。
今回ご紹介する車両は
「カワサキW800ストリート」です。
実は、W800は2016年で一度ファイナルエディションを出してその歴史に幕を下ろしております。
その時は新しい排ガス規制に対応できないために終了となったわけですが、その3年後の2019年に新しい排ガス規制に対応する形で復活を成し遂げています。
復活はW800ストリート&W800CAFEという2本立てでの復活でした。
フロントは19インチ→18インチとなり、フロントの回答性が上がり、操る楽しさも味わえるオートバイへと進化しています。
そして大きい変化としてはリアがディスクブレーキとなり、ABSが装備されたことです。
また、アシストスリッパ―クラッチも装備するなど最新のオートバイへと進化を遂げました。
そして、ストリートは2023年モデルをもってW800へ一本化されました。
Wシリーズはご先祖様のW1から一貫してバーチカル(垂直)ツインエンジンを採用してきました。
また、SOHCエンジンのカム駆動は伝統的にベベルギア式(かさ歯車)を使用しており、エンジン右側のロッドの造形とかさ歯車のギア音は独特です。
Wシリーズのエンジン音が好きという方は多く、この歯車の音とマフラーのパンチのあるいかにも排圧がかかっている音はWのアイデンティティとなっています。
そんなW800シリーズは現在甲府店に2台在庫車両がございます。
もう一台は2016年モデルW800です。こちらはリアドラムブレーキ、フロント19インチの車両です。
ご興味ございましたら、ぜひ2台の違いをお確かめください。
さて、ここからは前回に引き続きメンテナンスのお話をさせていただきます。
暖かくなるこれからは、数カ月乗っていなかったオートバイで久しぶりに乗り出すという方も多いと思います。
乗り出す前に、ここだけは確認を!というポイントのご紹介です。
まずは基本中の基本のエアチェックのお話。
エアの規定空気圧はkPa(キロパスカル)表示が基本で、補助的にkgf/cm2(キロ)が使用されています。
多くのオートバイは写真のようにリアホイールを保持するスイングアームにシールが貼ってあります。
↑写真はホンダレブル250のスイングアームに貼ってある空気圧シールです。
フロント200kPa、リア200kPa。
ここで注意がひとつ!
表示の空気圧は冷間時の空気圧です。
冷間時とは、タイヤが冷えている状態のこと、つまり「走る前に調整してください」ということです。
オートバイのタイヤは走るとすぐに温まり、その温度によって中の空気も温められ膨張します。
膨張すると空気圧が上がるので正確な値が計れなくなってしまいます。
ご自宅に空気入れやコンプレッサーがある方は走る前にチェックを、またご自宅に設備や道具がない方は当店にご来店いただければ調整させていただきます。
また、ガソリンスタンドなどで空気を入れている方もいると思いますが、その場合は規定値より10~20kPaほど多めに入れてください。
空気の膨張が収まるとおおむねそのくらいでちょうどよく規定値内に収まります。
指定空気圧シールは主にスイングアームにあってありますが、スクーターなどはメットインの中に貼ってある場合も多いです。
↑写真はヤマハX-MAXのメットインの中に貼ってある空気圧シールです。
1名乗車or2名乗車で指定空気圧が違う場合もありますのでご自身の使用状況を考慮し空気を入れてください。
また、当店にて車両をご購入のかたはあらかじめ空気ではなく窒素を充填している方も多いと思います。
窒素は熱膨張の少ない気体で走行による膨張がほとんどありません。
ですので、窒素を補充する場合は指定空気圧よりも少し高めに入れさせていただいております。
それはなぜかというと前述のとおりタイヤの中の空気は膨張することが前提で指定空気圧を決めていますので、膨張しない窒素を入れた場合はあらかじめその分を計算して高めに入れています。
さらに空気圧の話を掘り下げますと、夏から冬に向かうとき(外気温が寒くなる)は空気圧が下がり気味になります。
逆に、冬から夏に向かうとき(外気温が高くなる)は空気圧が上がり気味になります。
これも同じ原理で、冷えているときは空気密度が高いので気温が上がると勝手に内圧が上がってしまいます。その逆もしかり。
理想は1ヵ月に1度は空気圧チェックをしていただけると安心してオートバイに乗れると思います。
さらにさらに、マニア向け空気圧のお話をすると、スーパースポーツなどスポーツ系のオートバイに乗っている方はグリップ力が良くなるように指定空気圧よりも少なめに調整して乗っている方をたまに見かけます。
これは、20年前の調整テクニックだと思ってもらった方が良いです(笑)
現代の公道用タイヤは指定空気圧時によりパフォーマンスを発揮されるよう設計されていますし、車両を製造しているメーカーもそれを承知で純正装着タイヤなどを決めています。
↑写真はヤマハYZF‐R6の指定空気圧シールです。
1名乗車でも2名乗車でも同じでフロントが250kPa、リアが290kPaです。
昔からバイクに乗っている方は、リアは2名乗車しても大丈夫なように高めに設定してある、と思ってらっしゃる方もちらほら拝見します。
しかし、実際は最もタイヤのパフォーマンスを発揮する空気圧を指定空気圧としていますので、純正指定空気圧どおりに調整したほうがよりオートバイを楽しめると思います。
もちろん例外もあります。
例えばサーキットやコースを走ることが前提に設計されたタイヤなどは純正指定空気圧がすべてではありません。
スリックタイヤや溝付きですが温度依存性の高いタイヤ(代表的なタイヤとしてピレリのスーパーコルサSCシリーズやブリジストンのR11シリーズなど)はタイヤメーカーの示す空気圧を守ったほうがより安全により高いパフォーマンスを発揮します。
その場合、往々にして温間時と冷間時の指定空気圧表示がある場合があります。
この場合の温間時とはタイヤウォーマーなどタイヤを温める機材を用いてあらかじめ熱を加えた場合や、コース走行直後の温度を言います。
ちなみに、そういったコース専用タイヤの指定空気圧は各タイヤメーカーのHPなどで確認できる場合がありますので、そちらを参照ください。
参考までに、タイヤの種類により温まる速度が少し違うようです。
例えば、ツーリング用タイヤとハイグリップタイヤでは、ツーリングタイヤの方が温まりが早く速めにグリップ感が得られます。
逆にハイグリップタイヤは温まりが遅く、しっかり熱を入れることでパフォーマンスを発揮します。
公道でのタイヤの温め方の一つの方法としては、「1速や2速でアクセルオンとブレーキングを繰り返す」と早く温まります。
タイヤを揉むイメージです。当然周りをよく確認し、危険が伴わないことが前提です。
逆にあまり効果のない方法としてはローリング(左右にバイクを小刻みにバンクさせる方法)です、一見温まりそうですがそれほどではありません。
空気圧のことでわからないことやご相談がございましたらお気軽にお声掛けください。
それでは、皆様、楽しいバイクライフを!