オフロードバイクが大好きな編集者・伊井覚がHeroのX-PULSE200 4Vでオフロードレースに参戦してしまう連載企画。最終回となる今回はレース後のメンテナンス編。汚れたバイクを綺麗にするノウハウを紹介しましょう。
連載最終回となる今回は本格クロスカントリーレースWEXに出場したHero X-PULSE200 4Vを洗車。レースに限らずオフロード走行後のバイクを綺麗に洗うコツを埼玉県所沢市のバイクショップ・ビバーク所沢×ストラーダの渡辺健さんに伝授してもらいます。
ちなみにレース会場でこのバイクを初めて見た渡辺さんは興味津々。「え? これ4バルブなの? インドのバイクは作りの自由度が本当にすごいですね。空冷エンジンフェチとしてはタンクとエンジンの隙間がしっかり空いているのはたまらないですよね」との感想でした。
まずはこちらが、レースを走り終えてそのままの状態のX-PULSE200 4V。天気も良かったし転倒などはしていないので、パッと見た感じはキレイに見えます。ですが、近づいてよーく見てみると……。
このように砂や泥が全体的に付着していて、とても汚れています。
まずは全体を水洗い。水道からホースを引っ張って、満遍なく水をかけてあげます。もちろん、高圧洗浄機を使っても構いません。
これはオフロードに限りませんが、バイクは地面に近いところほど汚れやすいです。特に下向きの面やタイヤの近く。そのため、フェンダーの裏やスイングアームの下面、エンジンガードの下などにも洗剤を吹きつけましょう。
そうしたら次は高圧洗浄機を使います。レース会場など電源の取れない場所ではエンジン式のものが普及していますが、家庭で使うのであれば電気式が便利です。音も比較的静かなためご近所にも気兼ねなく使えますね。
フェンダーの裏側やエンジンの下側は特に念入りにやってあげましょう。レーサーを洗う時にはわざとバイクを横倒しにして、下側の面を洗いやすくする人も多いです。
ただし、スイッチ類やキーシリンダーなどを近距離から高圧洗浄するのは避けてください。隙間から水が入り込み、サビなどのトラブルの原因になってしまいます。
マフラーの排気口にも直接水を入れてしまわないように気をつけてください。レーサーではもっと排気口が大きいため、洗車時に穴を塞ぐためのキャップが販売しています。慣れない人はウエスを丸めて穴に差し込み、水の侵入を防ぐという手もありますよ。
洗剤と一緒に泥汚れを洗い流したら、水が乾いてしまう前にシリコンスプレーをかけてあげます。特に黒い樹脂パーツは洗車後に水ムラになりやすいので、この方法が有効です。
フォークブーツは劣化して破けがちですし、汚れも落ちにくいので、マストです。
もちろんエンジン周りにも有効です。
最後はウエスなどを使って手作業で拭き上げるのが一般的なのですが、渡辺さんはエアーの力で作業を簡単にしてしまうと言います。バイクショップなのでコンプレッサーがありますが、一般家庭でしたら、電動のブロワーを使っても同じことができます。
ハンドル周り
空冷エンジンのフィン、オイルクーラー
ブレーキのキャリパー
ステップやキックペダルなど可動部
外装などはウエスで拭いた方が簡単です。エアーで水を飛ばすのはハンドル周りや空冷エンジンのフィン、オイルクーラー、ブレーキのキャリパー、ステップやキックペダルなど可動部です。
最後にウエスで外装を拭き上げて終了です。
フォークブーツの溝やスポークも丁寧に拭いてあげます。
拭き上げ作業は面倒ですが、とても大切です。時には作業中にボルトの滑落を発見できることも。しっかり締め付けトルクを締めていてもオフロード走行ではメーカーも想定外の振動が起こり、このようにボルトが緩んで落ちてしまうことも。
でもまだ最後にやることがあります。
それがチェーンのメンテナンス。チェーンは地面に近いだけでなく、スプロケットの摩耗を減らすためにチェーンルブを塗布していますので、特に汚れやすいパーツです。このまま放置しているとサビて動きが悪くなり、最後は切れてしまうことも……。
チェーンクリーナーをウエスに染み込ませ、手作業で汚れを落としていきます。
この時、リアタイヤを回しながら作業すると効率的です。レーサーは最低地上高が高くて軽量なため専用のメンテナンススタンドでタイヤを浮かせることができますが、X-PULSEはそうもいかないため、車用のジャッキなどを使うと良いでしょう。エンジンガードやリンクを傷つけないため、木の板などを挟むとベストです。
チェーンの汚れを落としたら、今度はまたレース前と同じようにチェーンルブを塗布しておきましょう。この時、地面にチェーンルブが垂れてしまわないようにウエスで受け止めてあげることを忘れずに。
ここまで作業しても慣れれば30分程度でできます。ちょっと手間ではありますが、バイクをバラさなくても最低限ここまでやっておけば性能を維持することができますし、ツーリングにも気持ちよく使うことができますね。