「Z」と並んでカワサキに語り継がれる伝統のブランド「W(ダブル)」。W1から始まり、W650が裾野を広げたWの系譜は、今W800が受け継いでいます。変わらぬ姿を変わらずに保つW800はカスタムする楽しさも秘めており、世界に目を向けると「おっ」と思わず目を引く魅力的なカスタムW800が存在するのです。より魅力的で、より楽しいW800に仕上げるためのアプローチ方法をご紹介します。
スポーツバイクやオフロードバイク、ミニバイクなど多種多様なバイクがひしめき合う中、バイクの原点とも言えるオーソドックスなスタイルのバイクを「ネオクラシック」と呼びます。W800はそんなネオクラシックの1台で、Wの系譜を受け継ぐモデルとして往年の名車W1のスタイルを表現しているのです。そんなW800の特徴をご紹介します。
W1から採用されているダブルクレードルフレームに2本のリアサスペンションが備わるリア回り、アップタイプのバーハンドル、フロント19 / リア18インチのワイヤースポークホイール、そして直立した空冷並列2気筒エンジン「バーチカルツインエンジン」によって構成されるクラシカルかつオーソドックスなスタイルが、W800の最大の魅力です。リアサスペンションも、現代モデルに目を向けると、シート下に1本のリアサスペンションが備わる「モノショック」型が主流ですが、いわゆるツインショック型はあえて昔のスタイルを表現するために取り入れられているのです。まさに現代に残る「リアルクラシック」とも言えるスタイルを貫いています。
バイクに興味がない人が見ても、なんだか懐かしさを感じさせる……そんなスタイリングが大きな魅力なのです。
カワサキ・Zが並列4気筒をアイデンティティーにしているのに対し(一部モデルは除く)、Wは空冷並列2気筒の「バーチカルツインエンジン」が大きな特徴です。
その起源は、Wシリーズの原点である名車「メグロ」を戦前から手がけていたバイクメーカー・目黒製作所が販売していた「スタミナK1」というバイクです。1960年代当時、世界のバイク市場を席巻していたトライアンフなどの英国車に搭載されていたバーチカルツインエンジンを模して製造されていました。このスタミナK1が販売された1960年に目黒製作所は川崎航空機(現カワサキ)と提携し、メグロはカワサキのW1として新たに誕生しました。そこからW3、そして1999年に現行W800の直接のルーツとなるW650が生まれるのです。
ヘッドライトは、バイクのイメージを決定づけるうえで重要なパーツです。近年のモデルにはさまざまな形のヘッドライトが用いられていますが、W800はオーソドックスな丸いラウンドタイプを採用し、クラシカルかつスタンダードな雰囲気を作り出しています。現行モデルではLEDを採用しているため、現代的なイメージをうまく融合させているとも言えるでしょう。
ご紹介した起源モデル「メグロ スタミナK1」や「W1」の系譜を受け継ぐ形で、ライディング時の腕の位置がやや高くなるアップタイプのバーハンドルが採用されているのもW800の特徴です。低くもなく高くもなく、というポジションは、街乗りからツーリング、ワインディングと、シーンを選ばずW800のライディングを楽しませてくれる仕様となっています。
スーパースポーツやフルカウルツアラー、アドベンチャーなど、バイクは趣味性が高いだけに使い道を特化したモデルが数多くあります。しかし、W800はバイクのジャンルが今ほど細分化されていない50年以上前をルーツにしていて、当時の雰囲気のままの「汎用性の高さ」を維持しているのです。
バイクのシルエットを決定づけるガソリンタンクは、メグロやW1を彷彿させる容量15リットルの大型で流麗なタンクを用いています。モデルやタイプによって、塗装やエンブレム、タンクパッドの有無などバリエーションがあるので、モデル選びに悩んでしまいそうですね。
分厚くて段差の少ない2人乗りが可能なダブルシートは、W800の美しいシルエットを形成する一部です。こちらもタンク同様、モデルやタイプによってタックロール型シートになっていたり、シート横に入れられているライン「パイピング」の有無があるので、好みのモデルを選びたいですね。
シート自体の段差が少ないので、市販のキャリアと組み合わせれば荷物の積載性も一気に高まります。綺麗に載せられれば、キャンプ道具もW800のスタイルを形成する絵となってくれること請け合いです。その厚みからタンデム走行も快適なので、街乗りからキャンプツーリングまで楽しめる万能っぷりが魅力的です。
W800は純正スタイルのままでも、現在のバイクにはあまり見られないクラシカルで普遍的なスタイリングやディテールを持っています。そのため、カスタムの手法としては、こうしたW800が持つ基本的なスタイルはそのままにし、オーナーの体格や乗り方に合わせて個性的に変更していくのが王道といえるでしょう。
現在、カワサキはW800とMEGURO K3の2タイプをラインアップしています。基本的な車体構成は同じですが、外装の処理やハンドル、シートなど、細かい違いがあります。
ここではその2台に加え、2023年まで販売されていたW800 STREETとW800 CAFEの計4台をご紹介します。
シリーズの基本モデルがW800です。空冷並列2気筒エンジンをダブルクレードルフレームに搭載し、アップハンドルやダブルシート、フロント19 / リア18インチホイールなど、古き良き時代のオートバイを再現しています。
オーソドックスな車体構成は街乗りからツーリング、さらにカスタムなど、オーナーによってさまざまな楽しみ方ができるのも魅力です。
現行モデルのW800は、実は2代目モデルです。その2代目が発売された2019年に登場したのが、W800 STREETとCAFEの2台。
W800 STREETは前後18インチホイールや、より高くて広いバーハンドルを装備し、W800よりも軽快さを前面に押し出しているモデルです。カラーリングも一貫してマットカラーを採用していて、その名の通り、ストリート感を演出していました。
W800 CAFEはひと目見てわかる通り、ビキニカウルが存在感を放っています。さらに低めのバーハンドルを採用し、シートはシングル風の意匠となっています。前後ホイールはSTREETと同じく18インチで、W800が持つクラシカルなイメージや重厚感とは一線を画したモデルと言えるでしょう。
上述の通り、カワサキ・Wのルーツは目黒製作所の並列2気筒モデル・スタミナK1です。MEGURO K3は、そんなWのルーツをオマージュしたモデルです。
基本的な車体構成はW800と同じですが、専用エンブレムと銀鏡塗装を施したガソリンタンクやパイピングを施した専用シートなどを採用し、W800との違いを作り出しています。また、ハンドルバーはW800 STREETで採用されていたアップタイプを装着することで、背筋がピンとなるようなライディングポジションを意識した設計になっています。
W800はスタンダードなルックスのため、いろいろなスタイルに変更可能です。そのため、各パーツメーカーからさまざまなカスタムパーツがリリースされています。
ここではW800をカスタムする上でおすすめしたいメーカーとその特徴を紹介しましょう。
K&H
シートメーカーとして知られるK&Hは、乗り心地の良さや足つき性の向上によって多くのライダーから支持されています。シートはすべて車種専用で、シートベースから作成。独自改良を重ねた“長時間ライディングしても疲れにくいシート”となるインジェクション製法によって作成されています。
基本的に受注生産なので、表皮のカラーやパイピング、糸の色などを自分好みに変更できる「セミオーダー」が可能な点も魅力です。
POSH Faith
総合パーツメーカーとして高品質なカスタムパーツを多数リリースするのがPOSH Faith(ポッシュフェイス)です。W800用パーツについては、W1ハンドルバーやW1シートなど、往年のスタイルに近づけられる汎用性の高いパーツを取り揃えています。その他ウインカーやメーターステーなど、満足度の高いパーツをきっと見つけられるでしょう。
WM
ヤマハSR400 / 500のカスタムで知られるWM(ダブルエム)は、カワサキ・エストレヤやW650のパーツ開発も精力的に行っていて、当然ながらW800用パーツも多数リリースしています。
WMはカフェレーサースタイルを得意としていて、セパレートハンドルやバックステップ、さらにアルミタンクなどもラインアップしています。スタイリングをガラリと変えたいという方に特にオススメです。
PEYTON PLACE
ヤマハSR400 / 500をはじめ、W650やエストレヤといったクラシックスタイルのバイク用カスタムパーツメーカーとして有名な「PEYTON PLACE(ペイトンプレイス)」。得意なスタイルはカフェレーサーで、ビキニカウルやカフェレーサーシートなど、テーマに合わせたオリジナリティの高いパーツが取り揃えられています。もちろんW800用パーツも豊富で、細部のスタイルにこだわりたい人にオススメのパーツメーカーです。
デイトナ
ジャンルを問わず、汎用性の高いパーツを幅広く揃えている大手パーツメーカーがデイトナです。W800専用パーツとしては、ポッシュフェイスやWM、ペイトンプレイスほど個性的でラインアップが充実……とはいきませんが、パニアケースやスマホホルダー、ウインドスクリーンなど、バイクライフやツーリングを快適にするギアは豊富です。ツーリングメインや実用性を重視している方はチェックしてみるとよいでしょう。
キジマ
デイトナと並び立つようにバイクの汎用パーツを多数輩出してきたキジマ。こちらもデイトナ同様にツーリングギアのアイテム比率が多くなっているようです。W800専用パーツを見てみると、サイドバッグサポートをラインアップしています。革製サイドバッグでドレスアップと実用性の両方を向上させられるなど、選び方次第で個性的なW800を作り出せるでしょう。
カスタムは、自分の好みを愛車に反映させる行為です。つまりオーナーが10人いれば、10通りのカスタムW800があるというわけです。そんなリアルなオーナーカスタムを見るには、SNSを活用してみましょう。ここではInstagramで見つけた素敵なW800を紹介します。
BlueさんはW800をトラッカー風にカスタム。フェンダーをショートタイプに換装して、シートもコンパクトなものに交換。アップタイプのハンドルや小ぶりなヘッドライトによって、軽快感を演出しています。青を基調にしたカスタムペイントも目を引きますね。
BlueさんのW800のように、個性を最大限発揮するにはカスタムペイントが効果的です。しかしペイントをすると、下取りや買取時の査定額が下がってしまう可能性があります。プロのペインターに依頼して美しい仕上がりになっても、それは同様です。
査定額を下げずにペイントしたい場合は、中古のフューエルタンクを購入し、そのタンクにペイントを施すのも一つの手段です。
バイクの売却方法としては、業者が来て査定する「出張買取」と、自身でお店にバイクを持ち込む「来店買取」の2通りがあります。「出張買取」よりも高値がつくバイク館の「来店買取」についてご紹介しましょう。
最寄りのバイク館まで自走可能ということは、不動車はもちろん整備不良の車両とは違って状態の良いバイクであることの証明に繋がります。必然的に買い取るスタッフの印象も良くなり、価格が上乗せされるのです。
乗り換えるバイクの購入が決まっていれば、そのバイクが販売されているお店で下取りまですると買取額の上乗せ、もしくは新たに購入するバイクの販売価格から値引きしてもらえます。
日本全国に店舗展開しているバイク館では、お目当てのバイクが遠方の店舗で販売されていても、バイク館のネットワークでそのバイクを最寄りの店舗まで持ってくることもできます。これぞという一台があったら、一度最寄りのバイク館スタッフに相談してみてください。
ウェブサイトはもちろん、各店舗に国内外の多種多様なバイクを取り揃えているバイク館の在庫車両をじっくり見て回ることができます。パソコンやスマホで見ているだけでは気づかない多くの現車を前に、夢が一層膨らんでくることは間違いありません。その圧倒的な在庫数をご自身の目で見てみてください。
下取りから納車までの期間が空いてしまうことがありますが、致し方ないとはいえバイクがない期間はライダーにとって少々寂しいもの。でもバイク館の「来店買取」を用いれば、査定後も納車日までバイクに乗り続けられるのです。納車日にバイクで向かい、今のバイクを引き取ってもらって新しいバイクで帰ることができます。1日もバイクがない日を作りたくないライダーには嬉しいサービスですね。
クラシカルなスタイリングと高級感あふれるディテールが特徴のW800をカスタムするなら、そのコンセプトを守りながら、細部を自分好みに変えていくのが王道と言えるでしょう。現行モデルなので新車でも購入できますが、あえて中古車を狙い、浮いた予算でカスタムをすれば、より自分らしい1台として愛着が湧くのではないでしょうか。
全国に店舗を構えるバイク館なら豊富な中古車を揃えています。Webサイトも充実していて、中古車検索も可能。きっとお気に入りの1台が見つかるでしょう。
また、現在お持ちのバイクを売却してW800を購入したいと考えているなら、バイク館の下取りがおすすめです。バイク館では自社で買い取ったバイクは自社ネットワークで販売します。そのため余計なマージンがかからず、より高い価格で買い取ってもらえるのです。
バイクの購入も売却も、ぜひ最寄りのバイク館にご相談ください。