最新のバイクにはついていないものの、ちょっと古いバイクのほとんどに装備されているのが「チョーク」です。エンジン始動の際の必需品であるチョークは、どのような仕組みでどうやって使うのでしょうか。そして、どうして現行モデルには装備されていないのでしょうか。この記事ではチョークについて、さまざまな角度から解説します。古いバイクの購入を考えている人や、バイクに関する知識を深めたい方は必見です。
バイクのチョークとはどういった役割を持っているのでしょうか。詳しく解説します。
現在、バイクは一部の輸入車を除き、ほぼ全てのモデルで吸気システムにF.I.(フューエル・インジェクション)を採用しています。しかし、2000年代後半まではキャブレターが主流でした。F.I.がコンピューター制御によって気温や湿度にかかわらず適切な混合気を作り出すのに対し、キャブレターは機械式なので細かい調整は苦手です。そこで、エンジンが冷え切ってかかりにくいときなどにチョークの出番がやってきます。
チョークレバーを引くことで、空気の通り道を狭くしたり、ガソリン濃度を高めたりして、混合気の比率を機械的に調整し、エンジンをかけやすくするのです。
キャブレターバイクには現行モデルにはない魅力があります。その魅力について、詳しく紹介します。
現行モデルは気温や湿度にかかわらず、セルボタンを押せば簡単にエンジンがかかるバイクばかりです。もちろん、それは大きなメリットですが、チョークを使ってエンジンをかけなければいけないキャブレターバイクにもメリットや魅力が存在します。ここではキャブレターバイクにしかない魅力を掘り下げます。
キャブレターは一度セッティングを行うと、細かい調整はできません。気温や湿度による影響を受けやすく、特に始動時はなかなかエンジンがかからないこともあります。そこでチョークを使ってエンジンを始動させます。始動後しばらくして、エンジンが暖まってきたらチョークレバーを元に戻します。チョークレバーを引いたまま走り出すとスパークプラグがカブってしまうので注意しましょう。
こうした作業は面倒だと感じることもありますが、「愛車と対話しているようだ」として好んでいる方も多いようです。
キャブレターはその場で細かい調整をするのは苦手です。しかし、作業時間と場所がしっかり確保できれば、自分でもチューンアップしやすいことが魅力です。チューンアップのためのパーツも安価でそろえられますし、試乗を重ねて自分好みのセッティングに仕上げていく様は、まさに「愛車と対話を楽しんでいる」といえるでしょう。
もちろん、セッティングやチューンアップを行うには、キャブレターに対する知識が必要です。
キャブレターとF.I.、それぞれのエンジンのかけ方を紹介します。
バイクの吸気システムには、現行モデルのほとんどに採用されている「F.I.(フューエル・インジェクション)」と、2000年代以前のモデルに多く採用されている「キャブレター」の2種類があります。エンジンのかけ方に違いがあるのでまとめました。特にキャブレターにはいくつかの準備が必要なので、古いバイクに興味がある方は必見です。
キャブレター車はガソリンタンクからキャブレターへガソリンを送るホースの根元に「ガソリンコック」があります。車種によって異なりますが、「ON、OFF、RES」もしくは「ON、RES、PRI」となっていることがほとんどです。
ONはガソリンタンクからキャブレターにガソリンが流れている状態で、OFFはガソリンが止まっています。RESはリザーブの略で、予備ガソリンが流れる状態です。OFFの代わりにPRIがあるコックは負圧式で、通常はONでもガソリンは流れず、エンジンをかけるとガソリンが流れるようになっています。PRIはエンジンをかけなくてもガソリンが流れるので、メンテナンスなどでタンク内のガソリンを抜きたいときに使用します。
ガソリンコックがONまたはRESになっていることを確認したら、チョークレバーを引いて準備完了です。ちなみにチョークレバーはキャブレターに直接ついていたり、ハンドルスイッチに付属していたり、車種によってバラバラなので、あらかじめどこにあるかを確認しましょう。
F.I.車は状況に応じて必要なガソリンの量を自動で調整するため、チョークはありません。ガソリンポンプによって適切な量のガソリンを噴射するため、一部モデルを除いて、ほとんどのモデルにはガソリンコックもありません。
つまり、F.I.車は始動前にはほとんど何もしなくてよいということです。ただし、ガソリンを電力で送り込むため、バッテリーが上がっているとお手上げです。そのため、強いて準備を挙げるなら「バッテリーの点検を忘れずに」といったところでしょうか。
エンジンの始動方法にはセルスタートとキックスタートがあります。その違いを解説します。
始動前の準備を終えたら、いよいよエンジンをかけます。その方法には2種類あり、セルスターターを使用するものと、キックレバーを使用するものがあります。かけ方は全く違うものなので、それぞれの手順を紹介しましょう。また、緊急用のかけ方として「押しがけ」がありますが、ここでは割愛します。
一般的なエンジンの始動方法がセルスターターです。ハンドルスイッチについているセルボタンを押すことでエンジンを始動できます。
古いモデルには、キルスイッチがONになっているのにセルが回り続けるモデルもあります。それに気づかずに回し続けるとバッテリーが上がってしまうので、始動前にキルスイッチを確認しましょう。
また、最近ではクランクシャフトにつながったISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)が回ることでよりスムーズにエンジンを始動させるシステムも普及しています。第3の始動方法として、これからの主流になる可能性もありそうです。
クランクシャフトにつながったキックレバーを踏み下ろすことでクランクシャフトを回し、エンジンを始動させます。ボタンひとつでエンジン始動ができるセルスターターと違って、こつが必要です。
現行モデルでキックスタートのみを始動方式にしているモデルはありません。最後までキックスタートを始動方式として採用していたのは、2021年に生産を終了したヤマハ・SR400です。
SR400はエンジン始動の儀式としてキックスタートにこだわり続け、多くのファンを獲得した稀有なモデルといえるでしょう。
バイク館ならキャブレターを装着したモデルや古くてレアなモデルなどもそろえています。
キャブレターモデルは今やレアなバイクだといえるでしょう。新車はもちろん、中古車でも販売店によってはほとんど見かけないかもしれません。しかも年式が古いため、購入後のメンテナンスに不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
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バイク館では定期点検と基本メンテナンスを特別料金で提供する「Bikeep(バイキープ)」を実施しています。バイク館は全店認証工場で、整備スタッフの整備資格保有率は70%を超えています。優秀なスタッフと設備によるメンテナンスで、古いキャブレターモデルも快調を維持し続けられるでしょう。
もちろん、通常の定期点検や車検にも対応しています。
チョークを装備するキャブレターモデルには、現行モデルとはまた違った魅力があふれています。ぜひ、バイク館でお気に入りの愛車を探してみてください。
キャブレターを採用したバイクにはチョークやガソリンコックなど、現行モデルにはない装備が多くあります。それらは手間ではありますが、同時に愛車と対話するための魅力ともいえるでしょう。
バイクは趣味の乗り物です。便利で扱いやすいことは大きなメリットですが、キャブレターモデルが持つようなデメリットもまた、考え方によってはメリットになるのではないでしょうか。
お近くのバイク館で、ぜひキャブレターモデルの魅力に触れてみてください。