「あなたのバイクを○万円で買い取らせていただけませんか」などの文言が書かれたチラシを自分の愛車に貼られた、もしくは見かけた経験がある人は多いかもしれません。実はそういったバイク買い取りのチラシは、貼られていたら注意が必要な場合があります。 この記事ではなぜバイク買い取りチラシが危険なのか、買い取りチラシを貼る業者の目的、そして適切な対策方法について解説します。
買い取りチラシの多くは窃盗団のマーキングといわれています。また、買い取り業者であってもまともな業者ではありません
バイク買い取りチラシを貼っていく業者には、窃盗団と実際の買い取り業者の2パターンがあります。ここではその2種類の業者の正体と目的をそれぞれ説明します。
基本的にどちらによるものでも、真っ当な買い取り業者による営業行為とは程遠いものです。実際に愛車に買い取りチラシが貼られていると、注意が必要でしょう。
全てのものがそうであるとは限りませんが、バイク買い取りチラシは窃盗団がマーキング目的で貼っているケースがあります。バイクにチラシを貼り付け、すぐに剥がされていなかった場合は「あまり所有者の目が届いていない」「盗みやすいバイクである」と判断され、窃盗のターゲットにされる可能性が高いといえるでしょう。
また、窃盗団によるバイク買い取りチラシは、実在するバイク買い取り業者に成り済ました内容のものもあるので注意が必要です。
実際にバイク買い取り営業をかけたいと考える買い取り業者がその場で買い取り額を査定し、チラシを貼り付けている場合もあります。
ただし、「他人の敷地に侵入してバイクに貼り紙をする」という営業スタイルをする業者は、まともであるとは言い難いでしょう。買い取りチラシに書かれた業者に買い取り依頼をしたものの、廃車手続きや名義変更がされていなかった、お金が支払われなかった、という事案も実際に多く発生しています。
勝手にバイクにチラシを貼る行為は、罪に問える可能性があります。つまり、貼ること自体が悪質な行為なのです
「他人のバイクに勝手にチラシを貼るという行為を罪に問えないか」と考える人も多いでしょう。このようなバイクへの貼り紙行為は、実際には罪に問うことは難しいのですが、いくつかのケースでは住居侵入罪や器物損壊罪等で被害届を出すことが可能です。
ここでは違法性と罪に問うための具体的な条件を説明します。
他人の家の敷地内に入り込み、無断でバイクの買い取りチラシを貼っていく行為は、不法侵入に当たることがあります。
ただし、実際に住居侵入罪や不退去罪に問うためには、チラシ貼り付けの前からバイクへの貼り紙や自分の敷地内での営業活動を禁止することを明示した貼り紙等の注意喚起をしていることが必要です。
バイクに貼り紙をするという行為そのものだけでは、器物破損にはなりません。ただし、チラシを貼る際にバイクに傷が付いたり、バイクのパーツが壊されたりするケースもあります。その場合は器物破損になり得ますが、破損の原因がバイクへの貼り紙行為であると証明することは難しい場合が多いでしょう。
大手バイク買い取り業者等が加盟する中古二輪自動車流通協会では、バイクにチラシを貼る行為はバイクの所有者への迷惑行為であり、違法行為も含むことから禁止しています。つまり、中古二輪自動車流通協会に加入しているようなまともな業者であれば、他人のバイクに勝手にチラシを貼るという迷惑極まりない行為は純粋な営業目的であってもしないのです。
買い取りチラシが貼られてしまった場合、やってはいけない行為があります。ここで解説します
ここまでで、バイクに買い取りチラシを貼る業者の正体や危険性、違法性を説明してきました。では実際に自分のバイクにチラシが貼られているのを見つけたとき、どのようにすればよいのでしょうか。
実は、バイクの買い取りチラシを見た際にやってはいけないことがいくつかあります。ここでは自分のバイクに貼られたチラシに関して、注意して避けたほうがよい危険な行為を紹介します。
チラシに書かれている連絡先に電話をするのは危険です。例えば業者に成り済ました窃盗団の電話番号であった場合、「このバイクの持ち主はバイクを手放す意思がある」とみなされ、盗難のターゲットになる可能性があります。また、それが本当のバイク買い取り業者であっても、電話をすることでしつこい営業行為をかけられてしまうことも多いようです。
自分のバイクに買い取りチラシが貼られていることに気付いたにもかかわらず、そのまま放置してしまうのはとても危険です。チラシを貼ったのが窃盗団である場合、彼らはチラシを貼ったエリアに再訪します。そこでチラシが貼られたままのバイクを発見すると、「バイクの管理がずさんで、あまり目が行き届いていない」と判断され、窃盗のターゲットにされる可能性を高めてしまいます。
買い取りチラシが貼られたら、すでに窃盗団に目をつけられている可能性を考えましょう。ここでは対処法を紹介します
前の項目で、バイク買い取りチラシを発見した際にしてはいけない危険行為を紹介しました。
それでは、実際にバイク買い取りチラシが貼られていた場合、どのように対処するのが正解なのでしょうか。ここでは、バイク買い取りチラシが自分のバイクに貼られていた際に、盗難などのトラブルを避ける方法を解説します。
最も大事なことは、バイク買い取りチラシに気付いたらすぐに剥がすことです。もし繰り返し同様のチラシを貼られたとしても、見つけ次第すぐに剥がしましょう。貼り紙を放置すると、「このバイクの所有者は防犯意識が低い」と思われ、盗難のターゲットとして目をつけられることもあります。すぐにチラシを剥がして、所有者が常にバイクを気にかけていることをアピールすることが大切です。
一度でも買い取りチラシを貼られたバイクは、窃盗のターゲットにされる可能性があるため、盗難対策を徹底したほうがよいでしょう。具体的には、バイクカバーを使用して車種の特定を難しくしたり、チェーンロックを装着して勝手にバイクを動かしづらくしたりすることが効果的です。また、バイクの保管場所を変えると、狙われにくくなるでしょう。
バイクの買い取りチラシが貼られているということは、窃盗に遭う可能性が高まっているといえます。万が一、実際に盗難に遭ってしまったときのことを考え、盗難保険に入っておくことをおすすめします。盗難保険は任意保険の一種として加入できる他、メーカーによるバイクの盗難補償も利用できる場合があります。
前述の通り、バイクの買い取りチラシを貼ることを不法行為として問うためには、それらの行為への注意喚起がなされていることが条件のひとつとして必要です。敷地内での営業行為やチラシの貼り付けを禁止する注意喚起を貼り紙等で行うとよいでしょう。
また、賃貸物件の場合は、大家さんや管理会社に相談し、注意喚起をしてもらうことをおすすめします。
バイクの買い取りチラシ貼付や営業行為がしつこく続く場合、消費者センターや警察に相談することも手段のひとつです。万が一盗難などに遭ったときのために、相談実績を作っておくことは有効といえるでしょう。
相談によってすぐにその業者が処分される可能性は低いですが、事例としてデータベースに登録されます。相談が重なれば悪質な業者として扱われ、指導や処分がなされることがあります。
バイクを盗まれてしまった場合、素早い対処が重要です
ここまでで、バイクの買い取りチラシの貼り付けをされたバイクには盗難の危険があることや、対策を解説しました。
それでは、実際に自分のバイクが盗難に遭ってしまった場合、どのような対処をすればよいのでしょうか。ここでは、バイクが盗まれた際に取ったほうがよい行動のうち、特に大事なものを3つ説明します。
バイクが盗まれたことに気付いたとき、最初にしたほうがよいことは、最寄りの警察署や交番に行って盗難届を出すことです。盗まれた日時や個人情報の他、バイクの車種や年式、カラーリング、そしてナンバーや車体番号も聞かれるので、控えておくとよいでしょう。その際に渡される盗難届の受理番号は大切に取っておいてください。
また、「グッドライダー・防犯登録」をしている場合は、そのことも届け出時に伝えるようにしましょう。発見時に所有者確認をしやすく、早期発見につながります。
盗まれたバイクは犯罪に使われたり、事故を起こされたりするリスクがあり、所有者にその責任の追及がされることがあります。
このようなケースを避けるために、バイクを盗まれた際は、警察への届け出に加え、廃車手続きや一時抹消手続きを行いましょう。手続きには警察で受け取る盗難届の受理番号が必要です。申請場所や申請に必要な書類は排気量によって異なるので、事前に確認しましょう。
バイクが盗難にあったら、警察に届け出た後、保険会社に連絡しましょう。盗難保険への加入や任意保険の盗難補償特約の付帯を確認し、保険会社に保険金の請求手続きを行います。この手続きにも盗難届の受理番号等が必要な他、手続きの期限がある保険もあるため、なるべく早く警察への届け出、保険手続きを行うことをおすすめします。
また、盗難保険の他に、自賠責保険と任意保険の保険会社にも連絡し、中断証明の発行や保険の解約手続きも行いましょう。
買い取りチラシをバイクに貼られた場合、放置せずに適切に処置しましょう
バイクに貼られている買い取りチラシは、窃盗団や悪質な業者によるものがほとんどです。買い取りチラシが自分のバイクに貼られているのを見たら放置はせず、窃盗などの可能性を考えてすぐ剥がす、防犯対策の強化や盗難保険の加入等の対処をするとよいでしょう。事前対策として、貼り紙や営業行為禁止の注意喚起を行うことも有効な手段のひとつです。
また、愛車を手放したいと考えている人は買い取りチラシの電話番号には電話せず、バイク館などのきちんとしたバイクショップや買い取り専門業者に相談しましょう。ちなみにバイク館であれば、365日24時間、買い取り査定の受付をしています。