【YZF-R6の特徴】
YZF-R6は1999年から海外で販売されている、600ccミドルクラススーパースポーツです。
発売以来、日本国内仕様の設定は無く、プレストコーポレーションの正規逆輸入のみが入手ルートでした。(プレストコーポレーションは2020年をもって、逆輸入車事業を終了しています。)
ミドルクラスの特徴として、スロットルを回し切って車両の性能の100%を感じながら走るところだと思いますが、その魅力を詰め込んだのがYZF-R6でした。
海外でも2020年モデルの販売をもって市販車生産が終了しました。
2021年以降は、レースベース車両として販売されています。
■「70%楽しめるのがR1ならR6は100%だ」
別チームでの開発となっていたYZF-R6は、R1チームに対抗心を燃やしながらの開発をしていました。それは数字にも表れており、リッター200psを目標にした開発は見事に成功し、120ps/13000rpmを達成しました。最先端技術もR1寄り先に採用する等、R6の本気度が伺えます。
■YZF-R6の歴史
YZF-R6の歴史は、市販終了の2020年を6代目として、数々のモデルチェンジを行い、進化を続けてきました。
●初代YZF-R6
1999年に発売したYZF-R6は、YZF600Rサンダーキャットの実質後継モデルとして販売が開始されました。
リッター当たり200馬力を目標に設定し、R1より先にラムエアシステムを採用するなどして、120psの最高出力を達成しました。
スタイリングも600ccのミドルならではのスリムさを実現し、初代から完成度の高いマシンでした。
2000年にはスーパースポーツ世界選手権でチャンピオンに輝きました。
●2代目YZF-R6
2001年にマイナーチェンジを行ったYZF-R6は、2代目に突入。
細部のパーツの見直しを行い、LEDテールランプ等の採用を行いました。
車両重量も-1kgとし、若干の軽量化にも成功しました。
●3代目YZF-R6
2003年のフルモデルチェンジで、大きく生まれ変わり、3代目となりました。
一番の変更は、フューエルインジェクション化。エンジンもほぼ新設計と言っていいほどの変更を行いました。
このモデルは後に10年以上もレースベース車として活躍するほどの完成度を誇っていました。
2005年には右半分と左半分のカラーリングが違う、いわゆるアシンメトリーカラーを300台限定で発売しました。このカラーリングは、右が太陽、左が月をイメージしており、レースシーンでの大スターバレンティーノ・ロッシのサイン、シリアル付きのスペシャルモデルでした。ロッシのゼッケンナンバーを使い、車名は「YZF-R46」としました。
●4代目YZF-R6
2006年からの4代目は、欧州排ガス規制のユーロ3に対応する時期でした。
エンジンが変更点のメインで、12.8の高圧縮比の実現などを行い、最高出力127ps/14500rpmとさらに高回転エンジンへと進化しました。
市販量産二輪車としては初となる、電子スロットルを採用しました。
●5代目YZF-R6
2008年のマイナーチェンジで5代目となった、YZF-R6のデザインはそのままでした。
リアフレームに量産二輪車として初の一体鋳造型マグネシウム合金を採用し、剛性バランスを最適化しました。
2012年には、WGP参戦50周年記念の特別カラーも発売しました。
●6代目YZF-R6
2017年からの最終6代目は、フルモデルチェンジという形で登場しました。
ABSの採用やトラクションコントロール、クイックシフターなど電子制御系の装備がふんだん採用されました。
また、大きく変わったのはデザインです。
もともと4代目から好評だったデザインを変えなくいいといわれ、開発チームに火が付きました。いつまでも逆張りが好きなチーム。2
1999年からの約20年間のモデルヒストリーで16万代以上も売り上げたYZF-R6は、日本国内仕様を発売しなくてよかったとも思えるほどピーキーなバイクでした。
下から上までスカスカで最上がドッカンと言われるほどの扱いづらいバイクです。それの日本国内仕様。下も上も最上もスカスカになるのか、低中速で扱えるようになるのか。それはもはやYZF-R6ではなく別のバイクです。
2021年以降はレースベース車として生産は続いていきます。新型のR6を公道で走ることは叶いませんが、どの代も完成度の高いスーパースポーツとなっているので、色々なYZF-R6を味わってください。
【YZF-R6の装備】
アルミ製の燃料タンクを採用し、軽量化に成功。ニーポケット部の素早い動きに適した形状とし、安定性に貢献します。
電子制御系の装備も充実しており、電子スロットルの採用でライディングモードの選択も可能となりました。
【YZF-R6のパワーユニット】
公道での走行を捨て、サーキットでの走行性を向上させました。そのため、扱いづらいエンジンと呼ばれることも多く、ライダーを選ぶマシンとも言えます。
ただ、サーキットでの性能はトップレベルで、ミドルクラスで敵なしとなるほどの能力を秘めています。
【YZF-R6のシャシー】
新設計のリアフレームやR1同様の装備も数多く装備しており、600ccミドルには十分すぎる装備が揃っています。これは、R1と同等以上にR6が開発されたのを物語っており、高い品質のフレーム、高い品質の足回りを備えた、正真正銘のスーパースポーツとなっていました。