【V-MAX1200の特徴】
V-MAX1200は1985年に輸出モデルとして発売した、1200ccのストリートドラッガーです。
このストリートドラッガーというカテゴリは、V-MAX1200が作り上げたもので、ネイキッドともクルーザーとも言えない独特なスタイルからネーミングされました。
正式名称は、VMX1200。バイク館ではV-MAX1200と表記しています。
当時の世界最強のエンジンとなっており、その実力はドラッグレース(ゼロヨン)で10秒台を記録するほどのモンスターマシンでした。
■Vブーストシステム
V-MAX1200は、Vブーストシステムという装置を搭載していたこと最大の特徴です。このシステムは何かというと、8500回転以上の高回転時に大口径キャブレターを装備した状態を作り出し、多量の混合気をシリンダー内に導入する仕組みです。
このシステムによって、最大145ps/9000rpmという規格外のパワーを発揮し、300kg近い重量から想像できないほどの加速力を生み出していました。
■フル加速が困難な車両形状
ネイキッドでもなくクルーザーでもない形状ですが、ライディングポジションはどちらかというとクルーザー寄りでした。そのため、ニーグリップ等の体をホールドするのが困難で、実際にフル加速をしようとするとかなりの読経が必要でした。
テストライダーもフル加速をすることができなかったほどです。
■V-MAX1200の歴史
1985年にアメリカ・カナダで発売されたV-MAX1200は20年以上世界で継続販売されるロングセラーバイクとなりました。
1986年には欧州仕様の輸出を開始します。(欧州仕様はVブーストシステム非採用で、100psとなっていました。)
1987年に北米仕様をマイナーチェンジし、前後ディッシュホイールの採用となりました。
1989年には欧州仕様のホイールも変更。
1990年から日本販売が開始されました。
1991年は欧州仕様が排ガス規制の影響で、最高出力が95.2psにダウン。
1993年にフロントフォークの大容量化と、ブレーキの大径化を行います。
2001年にはフロントフォークにインナーチューブガードが採用されます。
同年4月以降の生産は、日本の排ガス規制の影響で一時逆輸入がストップとなります。
2003年には北米仕様車が現地の排ガス規制に対応。この年に、排ガス規制の対応が確認され、逆輸入が再開されます。欧州仕様は生産終了となりました。
2005年にはアメリカの排ガス規制に対応。全モデルが135psに統一され、このモデルをFinal Editionとして生産を終了します。
日本国内仕様は1990年から1999年の生産となりました。
【V-MAX1200のパワーユニット】
日本・欧州仕様車以外に採用されたVブーストシステムが一番の特徴で、国内仕様よりも逆車が人気な理由はココにあります。
中でもカナダ仕様が一番の高馬力で一番人気となっていました。
カナダ仕様:145馬力、アメリカ仕様:143馬力、カリフォルニア仕様:135馬力、欧州仕様:100馬力、日本仕様:97馬力と数字で見ると一目瞭然でした。
【V-MAX1200のシャシー】
フレームは超パワーのエンジンと重量に比べると、あまりに弱いフレームでした。通常走行でも感じられるほどヘロヘロで、設計ミスと言われるほど。
ただこれには狙いがあり、「デカいエンジンに弱いボディで力任せに地面蹴る愛おしい感覚こそアメリカ」という、アメリカに向けて、アメリカを意識して作ったフレームでした。