【GPZ900Rの特徴】
GPZ900Rは1984年に海外モデルが発売された、スポーツツアラーです。
発売当時はスーパースポーツのフラッグシップモデルとして登場したGPZ900Rは、Z1以来の世界最速マシンを目指して開発されました。
ただ、1986年のGPZ1000RXの発売以降は、スーパースポーツフラッグシップモデルの座は変わっていくことになった為、スポーツツアラーとして長く愛されることとなりました。
1986年に1作目が公開された大ヒット映画「トップガン」でトム・クルーズ演じる主人公の愛車としても、一躍有名となりました。
■カワサキニンジャの原点
GPZ900Rは、今でこそ当たり前に使われている「ニンジャ」という名前の原点です。
発売時は海外モデルのみのラインナップで、主に欧州と北米のカワサキが得意とする地域への販売となっていました。欧州名はその名の通りGPZ900Rでしたが、北米名は「Ninja900」となっていました。北米向けのカタログでも車種名はNinja900となっており、通常GPZ900Rと書かれたステッカーが貼られるサイドカバーもNinja900となっていました。
日本での忍者と言えば名前の通り、忍ぶ者というイメージですが、北米ではスーパーマンのようなイメージが定着していました。
その為、世界最速を目指すマシンに北米ではニンジャという名前が付けられたのでした。
■GPZ900Rの歴史
1984年に海外モデルが発売されたGPZ900Rは、1986年にマイナーチェンジを行います。
シリンダーヘッドのオーバーヒート対策として、オイルラインの径が拡大されました。
1988年にもマイナーチェンジを行い、フロントブレーキローターの穴を50個から80個に増やし、GPZ1000RXとの部品の共通化を行いました。
1990年に大きなマイナーチェンジを行い、フロントホイールを16インチから17インチに変更しました。他にもホイールデザインやフロントサスペンション、ミラー形状なども大きく変更されています。
1990年に750ccの排気量自主規制が撤廃されたことを機に、1991年から日本国内モデルの販売も開始されました。
1999年にマイナーチェンジを行い、前後タイヤがラジアルとなり、フロントブレーキキャリパーは対抗6ピストンに変更されました。
この1999年を最後に日本国内モデルの生産が終了しました。
2002年にもマイナーチェンジを行い、排ガス規制対応のための二次エア導入装置を搭載しました。
翌2003年を最後に生産終了となりました。
【GPZ900Rのパワーユニット】
GPZ900Rは水冷4気筒エンジンを採用しており、世界最速マシンを目指したエンジン設計が進められました。
開発期間は実に5年となっており、空冷直6気筒→空冷4気筒→水冷4気筒と数々のやり直しを経て、形になりました。
【GPZ900Rのシャシー】
GPZ900Rはシャシーの変更を約20年間のうちに3度行いました。
ディスクローターの変更やフロントホイールのサイズ変更、サスペンション、キャリパーの構造変更などを経て、晩年のスポーツツアラーに最適化されていました。